NVIDIA Preferred Partner
  1. ホーム
  2. THIRDWAVE PRO TECH
  3. MMS(モバイルマッピングシステム)とは?主要メーカー比較・導入コスト・解析ワークステーションの選び方まで

MMS(モバイルマッピングシステム)とは?主要メーカー比較・導入コスト・解析ワークステーションの選び方まで

公開日:2026年10月14日

モバイルマッピングシステム(MMS)とは、車両・船舶・鉄道にLiDARスキャナ・高解像度カメラ・GNSS受信機・IMUを搭載し、移動しながら周辺の3次元空間情報を取得するシステムです。英語表記は「Mobile Mapping System」で、国内では「モービルマッピングシステム」と表記される場合もあります。国土交通省によるBIM/CIM原則適用や3次元データ活用の進展を受け、道路台帳整備・インフラ点検・自動運転向けHDマップ構築など、さまざまな分野で活用されています。MMS導入には「計測機器」「処理ソフトウェア」「点群データを安定処理できるPC環境」の3要素を整備する必要があります。以下では仕組みから活用事例・主要メーカー比較・処理ソフトの推奨PCスペックまでを解説します。

モバイルマッピングシステムの仕組みと機器構成

MMSがどのような原理で3次元点群データを生成するかを、機器構成から解説します。各センサーの役割と連携を理解することで、後の処理工程でPCに高い負荷がかかる理由も整理できます。

参考:三菱モービルマッピングシステム | 三菱電機(外部サイト)

LiDARスキャナ・カメラ・GNSS/IMUの役割と連携

MMSでは、LiDARスキャナ・カメラ・GNSS受信機・IMUなどのセンサーを組み合わせ、位置情報や周辺環境の3次元情報を取得します。LiDARスキャナはレーザーを照射して周囲との距離を計測し、走行しながら大量の3次元点群データを取得します。高解像度パノラマカメラは取得した点群への色情報付与を担い、GNSS受信機は位置情報を、IMUは姿勢・加速度を計測します。トンネル内や高架下などGNSS受信が途絶した区間はIMUの慣性情報で位置を補完し、後処理工程で軌跡精度をさらに向上させます。1走行で複数のセンサーデータを取得するため、データ容量が大きくなる場合があり、処理環境の整備が重要です。

参考:三菱モービルマッピングシステム | 三菱電機(外部サイト)

走行計測から点群データ生成までの処理フロー

MMS計測後の処理は「①GNSS/IMU後処理(軌跡解析)→②点群への軌跡統合→③ノイズ除去・地物分類→④CAD/GIS出力」の4工程で進みます。①と③がPCリソースを大きく消費しやすい工程です。GNSS/IMU後処理では大量の観測データを行列演算で解くためRAMと演算性能が求められ、地物分類(地面・建物・電柱等の自動識別)では点群数億点規模のバッチ処理のためCPUのマルチコア性能が処理時間を左右します。データ量や処理内容によっては処理時間が長くなるため、十分なCPU・メモリを備えたPC環境が重要です。詳細は後述の「MMS点群処理ワークステーションの選び方」で確認してください。

参考:作業規程の準則について | 国土地理院(外部サイト)

計測精度とデータ規格:公共測量における位置づけ

国土地理院では、移動計測車両(MMS)を用いた公共測量についてマニュアルを定めており、道路台帳付図の整備・維持管理業務などへの活用が進んでいます。計測精度は機器・環境・走行条件などによって異なります。各製品の公称精度を確認したうえで、用途に適したMMSを選定することが重要です。計測成果は点群データや画像データなど、用途に応じた形式で出力されます。公共測量やBIM/CIMなど、案件ごとに定められた仕様への対応が必要です。

参考:作業規程の準則について | 国土地理院(外部サイト)

モバイルマッピングシステムの業界別活用事例

MMSは道路管理にとどまらず、鉄道・電力・BIM/CIMまで幅広い分野で採用されています。各事例で計測データの規模を把握することで、後続のPC環境整備の見通しが立ちます。

参考:MMS(モービルマッピングシステム)| 株式会社パスコ(外部サイト)

道路管理・インフラ維持:道路台帳整備の効率化

道路台帳付図の作成・更新では、従来の人力調査に比べ、MMSによって作業時間の短縮が期待できます(各事業者の導入事例より)。計測車両によって広範囲の道路データを効率的に取得でき、線形・路面状況・標識・ガードレール等の属性情報を同時に取得します。国土交通省はMMSで取得した三次元点群データの提供事業を開始しており、地方自治体・道路管理者がMMS成果を活用するインフラが整備されつつあります。

参考:MMSによる三次元点群データ等の提供事業を開始 | 国土交通省(外部サイト)

鉄道・電力・橋梁:垂直面・構造物点検への展開

鉄道トンネルの内壁変状検査や電力設備の離隔距離計測など、ドローンでは進入が困難な閉鎖空間や構造物の点検にも、MMSが活用されています。JR西日本はMMSを鉄道安全性向上のための技術として活用を検討しており、電力分野では架線・電柱の3次元位置情報を高速取得し、設備台帳管理に活用する事例もあります。大規模な点群データを取得し、処理時にRAMが不足すると処理速度や安定性に影響する可能性があります。

参考:MMS(Mobile Mapping System)技術の活用 | JR西日本(外部サイト)

BIM/CIM・自動運転向けHDマップ構築

BIM/CIM設計への入力データとして、MMSで取得した橋梁・トンネル・道路構造物の3次元点群が活用されます。自動運転分野では、高精度3次元地図データ(HDマップ)の構築にMMSなどで取得した点群データが活用されています。国内ではダイナミックマッププラットフォーム株式会社が、主要幹線道路などの高精度3次元データの整備・提供を担っています。BIM/CIM連携工程ではCivil 3D・Revit等のソフトと点群処理ツールを組み合わせて作業するため、GPU描画性能と大容量RAMが同時に求められます。後述の「MMS点群処理ワークステーションの選び方」で構成の詳細を確認してください。

参考:【テックブログ】マップエンジニアが解説!屋内MMS計測の難しさと効率化への挑戦| ダイナミックマッププラットフォーム株式会社(外部サイト)

ドローン測量・地上固定レーザー(TLS)との比較

MMS・ドローン測量・TLS(地上固定型レーザースキャナ)の3方式を比較し、用途別の選定基準を整理します。データ量とPC処理負荷の観点も加えることで、ワークステーション要件の見通しが立ちます。

参考:UAVレーザ測量マニュアル(案) | 国土地理院(外部サイト)

3方式の特性比較:計測対象×精度×導入コスト×PC処理負荷

3方式の特性差は計測対象に最もよく表れます。MMSは道路沿いの水平面と建物側面の連続計測を得意とし、ドローンは広域の上空からの計測、TLSは狭域の構造物精密計測に向きます。PC処理負荷の観点では、MMSが1走行で生成するLiDAR点群は、走行距離や計測条件によって大規模になりやすく、ドローン写真測量(SfM処理)と比較しても、大規模な点群を扱うケースがあり、処理ソフトウェアへの負荷が高くなる場合があります。

比較軸 MMS ドローン測量 TLS(地上固定型)
得意な計測対象 道路・トンネル・鉄道・建物外壁 広域平坦地・造成地・山岳地形 構造物の精密計測・狭域
1日の計測範囲 条件により異なる 条件により異なる 条件により異なる
GNSS遮断域の対応 IMUで補完可 飛行規制・悪天候時は不可 移動不要で影響小
PC処理負荷 高(大規模な点群を扱う場合がある) 中(SfM処理が主体) 中〜高(スキャン密度による)
導入コスト 構成・機器により異なる 構成・機器により異なる 構成・機器により異なる

MMSを選ぶべき用途・ドローンを選ぶべき用途の判断フロー

計測対象が道路・トンネル・鉄道・建物外壁等の線形インフラであればMMS、広域の平坦地・造成地・山岳地形であればドローン測量を優先するのが効率的です。MMSはGNSSが届かないトンネル内部でも計測できますが、ドローンは飛行規制区域・悪天候の影響を受けやすい点が判断軸の1つです。社内PC環境の観点では、MMSデータはドローン写真測量と比べて大規模なデータを扱うことがあり、処理負荷が高くなりやすいため、ワークステーション要件を先に確認する必要があります。

参考:i-Construction | 国土交通省(外部サイト)

MMSデータ処理ソフトウェアの比較と必要PCスペック

点群処理の代表的ソフトウェア3製品の特徴と推奨スペックを比較します。各ソフトの公式スペックと実務上の推奨値を区別して示し、次節「MMS点群処理ワークステーションの選び方」への参照基準とします。

参考:Hardware and Software Requirements | TerraScan(外部サイト)

TerraScan(Terrasolid):点群分類・道路台帳整備に活用される代表的なソフトウェア

TerraScanはMMS・航空LiDARを問わず、点群処理に利用される代表的なソフトウェアです。Bentley MicroStation、またはTerrasolid独自プラットフォーム(Spatix)上で動作し、道路施設(縁石・車道・歩道・電柱等)の自動分類やオルソ画像作成に対応します。TerraScanではCPU性能が重要で、公式要件ではクアッドコア以上・高い動作周波数のプロセッサが求められています。RAMは16GB以上が必要で、32GB以上が推奨されています。高クロック・多コアCPUが処理時間に影響するため、CPU選定が重要な検討項目になります。TerraBatchによる複数処理を並行して実行する場合は、RAM 64〜128GBが実務的に有利です。

スペック項目 公式最小 公式推奨 実務目安(複数路線並行処理時)
RAM 16GB 32GB以上 64〜128GB
GPU 不要(TerraScan本体) 不要 不要(TerraPhotoの一部のみ有効)
CPU クアッドコア以上 高い動作周波数のプロセッサ Intel Core Ultra 9 / Ryzen 9クラス
ストレージ 記載なし SSD推奨 PCIe 4.0 NVMe SSD

LiDAR360(GreenValley International):GPUアクセラレーション(CUDA対応)と機械学習分類

LiDAR360は点群の取り込み・ノイズ除去・自動地物分類・DEM/DSM生成まで一括処理できる統合型ソフトウェアです。NVIDIA GPUのCUDAを利用できる機能があり、ディープラーニングによる点群分類ではGPUアクセラレーションに対応しています。公式スペックでは、RAMは32GB以上、GPUはNVIDIA GTX 970以上・VRAM 4GB以上とされています。大規模な点群プロジェクトでは、処理するデータ量や用途に応じて、十分なRAM容量やVRAM容量を備えた環境を選定することが重要です。

スペック項目 公式最小 公式推奨 大規模実務環境の目安
RAM 32GB以上 32GB以上 64GB以上
GPU(VRAM) GTX 970以上(VRAM 4GB以上) 同左 VRAM 16GB以上
CPU Intel Core i5/i7(2コア以上) 公式記載なし Intel Core Ultra 9 / Ryzen 9クラス
ストレージ 記載なし SSD推奨 PCIe 4.0 NVMe SSD

参考:Installation Guide | LiDAR360(外部サイト)

Inertial Explorer(HxGN/NovAtel):GNSS/IMU後処理とPC処理負荷

Inertial ExplorerはMMS計測後の軌跡解析に利用される代表的なGNSS/IMU後処理ソフトウェアです。基準局データとMMS搭載受信機のデータを組み合わせてPPK(後処理キネマティック)で高精度軌跡を算出します。GNSS/IMUデータの処理ではCPU性能が重要となり、データ量や処理内容によって処理時間が変わります。GNSS/IMU後処理→点群位置補正→TerraScanやLiDAR360での地物分類という一連のパイプラインを1台のワークステーションで処理する構成が効率的です。

参考:Inertial Explorer | NovAtel(HxGN)(外部サイト)

MMS点群処理ワークステーションの選び方

MMSデータを安定処理するためのPC構成を、パーツ別の技術的根拠で解説します。CPU・GPU・RAM・ストレージの4軸で選定基準を示し、末尾の一覧表で意思決定を支援します。

参考:Installation Guide | LiDAR360(外部サイト)

CPU:大規模点群処理はマルチコア+高クロックの両立が求められます

MMS点群処理の工程によってCPU要件が異なります。GNSS/IMU軌跡解析では高いシングルスレッド性能が有効で、点群の自動分類・フィルタリングではマルチコア性能が処理速度に影響します。Intel Core Ultra 9 285K(24コア、最大5.7GHz)やAMD Ryzen 9 9950X(16コア、最大5.7GHz)等の高コア数・高クロックCPUを搭載したワークステーションが選択肢となります。コア数や動作周波数が低いPCでは、点群分類などの処理に時間がかかる場合があります。

参考:高精度3D地図作成「モービルマッピングシステム」 | 東陽テクニカ(外部サイト)

GPU:NVIDIA GeForce RTX / RTX PRO BlackwellとVRAM要件

LiDAR360はNVIDIA CUDAに対応しており、GPUの性能やVRAM容量が、点群分類処理や3D描画の処理速度に影響します(TerraScanの主要な点群処理はCPU中心です)。消費者向けGPUは NVIDIA GeForce RTX(例:GeForce RTX 4080、GeForce RTX 5080)、ワークステーション向けISV認証GPUは RTX PRO 4000 Blackwell のように製品名と世代を明記します。以下は公式要件ではなく、大規模点群処理を想定した実務上の目安です。

  • 小〜中規模(〜1億点):VRAM 8GB
  • 中規模(1〜5億点):VRAM 16GB
  • 大規模(5億点超):VRAM 24〜32GB

業務継続性や長期保証を重視する場合は、NVIDIA RTX PRO Blackwellシリーズなどのワークステーション向けGPUも選択肢になります。

参考:Installation Guide | LiDAR360(外部サイト)

RAM・ストレージ:64GB以上のRAMとNVMe SSDが処理安定の実務基準

MMSでは大容量の点群データを扱うため、複数の計測路線を並行処理する場合や大規模なプロジェクトでは、RAM 64GB以上を実務上の目安とする構成が考えられます。TerraScanの公式推奨は32GB以上です。ストレージは高速なNVMe SSDをプロジェクトデータ用に搭載し、HDDはバックアップ・アーカイブ用として使い分ける構成が考えられます。生データを長期保管する場合は、大容量HDDを組み合わせる方法もあります。

参考:Hardware and Software Requirements | TerraScan(外部サイト)

処理ソフト別・推奨PCスペック一覧表

TerraScan・LiDAR360・Inertial Explorerの3製品と、BIM/CIM連携で使用するCivil 3D・Revitを加えた5ソフトについて、推奨スペックを整理します。公式最小スペック・実務推奨・大規模プロジェクト向けの3段階で確認し、購入判断の材料にしてください。

ソフトウェア RAM(最小→推奨) GPU CPU ストレージ
TerraScan 16GB → 32GB以上 不要(TerraScan本体) 高クロックCPU NVMe SSD推奨
LiDAR360 32GB → 32GB以上 NVIDIA CUDA(VRAM 4GB以上) 多コア推奨 NVMe SSD推奨
Inertial Explorer 公式非公開 不要(CPU処理主体) CPU性能を重視 SSD推奨
Civil 3D 8GB → 32GB以上 VRAM 8GB以上(点群・大規模データ・3Dモデリングでは12GB以上) 3GHz以上推奨 SSD推奨
Revit 16GB → 32GB以上 VRAM 6GB以上推奨 マルチコア推奨 SSD推奨
実務環境の目安 64GB以上 VRAM 16GB以上 16〜24コア・5GHz帯 PCIe 4.0 NVMe SSD

本社や解析拠点ではデスクトップワークステーション、現場事務所ではモバイルワークステーションを使い分ける構成も検討できます。

参考:i-Construction | 国土交通省(外部サイト)

主要MMSメーカーと製品・導入コストの目安

MMS機器への投資規模を把握した上で、PC環境整備の計画を並行して立案することが、MMS導入全体の費用対効果を高めるポイントです。

参考:三菱モービルマッピングシステム 仕様 | 三菱電機(外部サイト)

三菱電機・トプコン・ライカジオシステムズ:主要製品の特徴比較

国内で展開されている主要MMSメーカーとしては三菱電機(MMS-G・MMS-H・MMS-Xi220FZPLなど)、トプコン(IP-S3 HD1等)、ライカジオシステムズ(Pegasus: Two Ultimate)等です。三菱電機は道路台帳整備などでの活用事例があり、トプコンは船舶・自転車等への搭載事例があります。ライカのPegasus: Two Ultimateは360°カメラとLiDARを搭載し、高精細な画像と3次元データを取得できます。MMSの導入費用は、計測機器の構成や搭載するセンサー、オプションなどによって異なるため、導入時には個別に確認する必要があります。

参考:三菱モービルマッピングシステム 仕様 | 三菱電機(外部サイト)

導入コストの全体像:機器・人材・PC環境の3本柱

MMSの導入では、計測機器だけでなく、操作・運用に必要な人材の教育や、点群データを処理するワークステーションなども含めて、必要な費用を検討することが重要です。点群データを処理するワークステーションについても、処理するソフトウェアやデータ量に応じて、CPU・GPU・RAM・ストレージなどの構成を検討する必要があります。機器投資の立案と並行して、PC環境の導入計画を策定することをおすすめします。

参考:MMS(モービルマッピングシステム)とは? | 空間情報クラブ(外部サイト)

まとめ

  • 機器・ソフト・PC環境の3点セット:MMS(モバイルマッピングシステム)は走行しながら道路・鉄道・電力インフラの3次元空間情報を高速取得できる計測技術です。導入の成否は機器性能だけでなく、大規模な点群データを安定処理できるPC環境にも左右されます。
  • 処理ソフト別のスペック確認が必要:TerraScan・LiDAR360等を安定運用するには、処理内容に応じたCPU性能に加え、RAM 64GB以上・NVMe SSDなどの構成が実務的な選択肢となります。一般的なビジネスPCでは、データ量や処理内容によって処理に時間がかかる場合があります。
  • 機器投資と同時にPC環境計画を:機器本体だけでなく、PC環境整備も並行して計画することが、MMS導入全体の費用対効果と業務品質を左右するポイントです。